黒羽音響技研の実験室

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近年のDAC事情

明けましたので去年中に更新できなかった内容をものすごい勢いで投稿していきます!
というのも、画像とか計算結果は準備していたけども書いていなかっただけなのですが・・・

さて、数の子の塩抜きをしすぎないうちに近年のDAC事情に関して書いていこうと思います。
近年のDAC事情とはいっても、ここのDACチップがこうであーでという話はしません。

今回はDACの出力電圧が標準的であったラインレベル1.228Vから3.05V(若しくはそれ以上)に移行しているかを書いていこうと思います。

3.05Vという時点でセイバー社のESS9018というDACチップだということに気がついた方もいると思います。
現在、オーディオ市場ではESSのDACを使うことがトレンドとなっており少し前のようにTI社や旭化成社などの様々なDACチップを製品で使うケースが少なくなりつつ有ります。

ここでは、詳細な説明は割愛しますがESSのDACチップがトレンドとなる大きな理由としてDSDデータとPCMデータの切り替えが自動であることや標準で数種類のデジタルフィルターやアッテネータを内蔵し、制御が容易なことが挙げられます。
・・・とはいえど、制御に関するバグが多少あるため扱いにくいという面も持ち合わせているようです。

さて、本題ですが何故DACからの出力電圧がおよそ3倍になったのでしょうか?

答えは、熱雑音という雑音にあります。
熱雑音はありとあらゆる電子回路の抵抗が存在する部分に発生し、抵抗値と温度、帯域幅によって決定される抵抗が発生する雑音になります。
熱雑音を減らすには抵抗値、温度、帯域幅のいずれかを小さくすることによって減少させることが出来ます。

しかしながら、DACにおいて信号インピーダンスを一定以上に小さくすることは困難であす。
また、温度に関しても高精度な測定器でもない限り液化窒素による冷却も費用対コスト以前の問題で実用的ではありません。
加えて、ハイレゾ音源が普及し始めたのに帯域幅を狭めることはナンセンスです。

そこで、DACの出力電圧を拡大することによって熱雑音に埋もれてしまう領域を少なくするという考え方があります。
というか、これこそがDACチップの出力電圧が大きくなってきた理由と言ってもいいでしょう。

以下にエクセルで温度を300K、抵抗値(信号インピーダンス)を規格の600Ω、帯域幅をサンプリングレートに対するナイキスト周波数と設定した場合の雑音電圧を記載いたします。

hyou0.png
※見づらい場合は写真をクリックすると大きな画像が別窓で開きます

サンプリングレートが大きくなればなるほどナイキスト周波数(再生できる周波数)が大きくなるため、
帯域幅も広くなります。そのため熱雑音も大きくなります。

ここで、従来の1.228V出力のLSB時の電圧と熱雑音を比較してみます。
DACはデジタルデータをアナログ電圧に変換するため、階段状に電圧を大きくしていきます。
最も小さいデジタルデータを入力した時に、最初の1段目で出力できる最小の電圧をLSB時の電圧と記載します。

1V LSB vs noise

縦軸は電圧となっています。
16bit/44.1kHzの時は最小出力電圧が熱雑音よりもはるかに大きいため問題にならなさそうですが、
24bit/192kHzおよび32bit/384kHzの時は最小出力電圧が熱雑音よりも大きくなっています。

続いて、近年の3.05V出力のLSB時の電圧と熱雑音を比較してみます。

3V LSB vs noise

電圧を大きくしても従来のラインレベルと同じような結果になりました。
24bit/96kHz以上では最小出力電圧よりも熱雑音のほうが大きくなってしまいます。

1.228V出力と3.05V出力のDACを比較して見るために、最大出力電圧(F.S.)における熱雑音が占める率を求めると以下のようになります。

FSV vs noise

出力電圧が約3倍になっているとおり、このグラフから見ても3.05V出力のDACのほうが3分の1程度低いことが見て取れます。

最後に熱雑音が占めてしまう、DACの出力電圧のステップ数を計算してみました。

step vs noixe

32bit/384kHz以外はグラフ上では現れていませんが、16bit/44.1kHz超では熱雑音によって占められるステップが存在します。


以上の計算結果から、出力電圧が大きくなったからと言って熱雑音の影響を無にすることは出来ません。
しかしながら、SN比と言うのは雑音と信号の比によって求まるものであるため、出力電圧を大きくすることでSN比を高くすることが出来ます。
出力電圧をおよそ3倍にすることで、SN比を3倍改善することが出来ます。
デシベルに換算すると約9.5dBです。

1.228Vの出力をもつDACで123dBのSN比を持つPCM1794Aですが、ESS9018では133dBとなっています。
おおよそ、出力電圧の拡大によってSN比を高くしたといえる感じでしょうか・・・




P.S.
32bit/384kHzでLSBが熱雑音に埋もれないようにするためには・・・
出力電圧振幅を大きくすると→5.9kV
出力インピーダンスを下げると→0.158mΩ
両方すると→出力電圧525V 出力インピーダンス4.7Ω

・・・ナンセンスですね。


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  1. 2014/01/01(水) 02:03:35|
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