黒羽音響技研の実験室

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PCBデザインの話②

こんばんわー
更新が前回から2週間以上あいてしまって申し訳ないです・・・
忙しいとか、そんなのは言い訳にならないので内容で償いをしていきたいと思います。
さて、前回は不帰還増幅器における一点アースの導入的な部分と負帰還回路の配線を短くするためのレイアウトの話をさせて頂きました。
今回はもう少し踏み行って、具体的な一点アースの取り方と引き回しの考え方を考察していこうと思います。

今回の内容は定本OPアンプ回路の設計P150~とMJ2001年3月号の内容を統合して分かりやすく解説するつもりです・・・
お付き合いいただければ幸いです。



オーディオアンプの基板設計におけるグランドの考え方

 オーディオだけに限った話ではなく増幅器を扱う以上避けることの出来ない課題の1つにグランド扱い方にあります。
グランドというと電流が流れこまないような印象を持っていたり、単なる0[V]の電位と考えていると大きな電流を扱う回路で最大限の性能を引き出すことが出来なかったり、ノイズに悩まされたりすることが起こります。
 今回紹介する事は基板設計の時にほんの少し工夫するだけで性能が引き出せます。
もちろん、これには別段コストがかかるわけではありません。しいて言えば手間がかかるぐらいでしょうか。


■アンプ全体を通しての電流の流れを考える
まずは回路図を掲載します。
この回路のオペアンプの記号の部分はアンプを表現しています。
※今回、記載する回路図は部品配置や線の引き回し方そのものが関係してくるので注意してください。

gnd1


この回路図は一般的な一点アースを考えた時に作りがちな回路です。
基板として考えると一点アースの場所までパターンを引いてく感じですね。

それでは電流の流れを考えてみましょう
 赤色の矢印:出力がプラス側に振っている時の電流経路
 青色の矢印:出力がマイナス側に振っている時の電流経路
 緑色の矢印:入力信号や負帰還回路の分圧抵抗の信号がグランドへ戻っていく電流経路

注目して欲しい箇所としては緑色の矢印が出力が有る限り必ず赤色か青色の矢印と交錯すると言うことです。
赤色や青色の矢印に比べて緑色の矢印の電流値は小さなものになります。
しかし、その小さな電流がアンプの出力電流で干渉されてしまっているのです。
このように大きな電流と小さな電流が同じ経路を通ることでノイズが出たりすることがあります。
少し難しい言葉で言うとグランドが共通インピーダンスを持っていると言いますが・・・
限られた道幅で大人数で歩いてきている人と逆向きに進むのが大変なことと同じようなものです。

では、この問題をどの様に解決するのか?
この問に答える回路は以下のとおりです。

gnd2


別段、部品を増やしたわけではありません。
電流の流れる経路をデカップリングコンデンサを利用して分けただけの話です。
・・・しかしながら電流の経路はこれだけスマートに分けることが出来ます。
デカップリングコンデンサは、その素子専用の電源のような働きをしてくれるのでこのような芸当ができます。


■具体的なアンプに近いモデルで考える
先に述べたことを踏まえてオペアンプとバッファを使った簡易的なアンプのモデルを考えてみましょう。

gnd3


電流が流れる経路を考え、その端その端ごとでグランドのブロックを作ってそれを母線のグランドに落とす形になります。
ベタグランドのように基板全体にグランドを作りグランドのインピーダンスを下げるのではなく、
上手く電流を誘導し、大電流を扱う回路と干渉させないように基板設計していくというのが確実に性能を出せるワンポイントになってくるかと思います。


■電源回路のグランドは基板の何処につなぐべきなのか
さて、さんざん電流経路がどうのと考えても電源からのグランドの配線を基板の何処に繋げばよいか?
ここで選択を誤ると少し惜しいです・・・
アンプの各ブロックを簡易的に表した回路図を記載します。

gnd4


厳密に言うとこのブロック図は間違っているのですが、感覚をつかみやすいように書いたつもりです。
アンプの中でグランドを扱う部分は入力の初段部分と出力のグランドになります。
ここではAとBの2箇所で表しました。
配線に使う線、もしくはパターンに抵抗値というものが超電導でない限り存在してきます。ここでは初段から電力増幅段(AからB)のグランドの配線抵抗は30[mΩ]と定義することにします。
初段の入力に最大で流れる電流を1[mA]とし電力増幅段から流れる電流を100[mA]と定義します。

・Aに電源のグランドを接続した時のことを考えてみましょう
電力増幅段までの配線抵抗値は先に述べたとおり30[mΩ]なので電圧降下は
E=IRより
=100*10^-3*30*10^-3[V]
=3[mV]
となり、初段までの電圧降下は配線が非常に短いので無視できるものと考えます。


つぎに
・Bに電源のグランドを接続した時のことを考えてみましょう。
今度は電力増幅段までの配線が非常に短いので電力増幅段までの電圧降下は無視できるものと考えます。
対して初段までの電圧降下は配線抵抗が30[mΩ]なので
E=IRより
=1*10^-3*30*10^-3[V]
=30[uV]
となります。


2つの結果を考えたときに、電圧降下が低いほうが理想的なグランドと呼べるのでBの方に電源のグランドを接続するのが最適だということが分かります。
これは、回路内で電流が一番流れる側に電源のグランドを接続するという決まりごとの証明になるような気がします・・・
あり得ないわけではないので一応説明しておきますが、初段の方が電流が多く流れる回路の場合でしたら先の事よりAに接続するのが無難になります。


かなり荒っぽい説明になってしまいましたが感覚だけでも掴めていただけましたら幸いです。
次回は基板上でのシールド(ガード)の方法と機材内部のグランドの配線の考察を行っていきたいと思います。

@独り言
色々調べたり、今まで知らなかったものを身につけてくると自分が今まで設計してきたキットが酷いものに見えてきます。
作り始めた頃に掲げた最高の目標が、完成したときには最高と呼べなくなっていく・・・
でも、だからこそ次のものを作っていけるんじゃないかなと思っています。


ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
出来るだけスパンを開けないように努力いたしますので次回も読んでいただけると嬉しいです!
それではーー


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  1. 2010/10/05(火) 00:22:03|
  2. PCB
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

PCBデザインの話 ①

こんばんわー
更新が主に深夜になってしまいますので読む頃には昼になっているのかも・・・
挨拶は難しいですね。
おはようございますの方は、おはようございます!
こんにちわの方はこんにちわ!!


さて、今回はPCB(プリント基板)の設計の話をしようかと思います。
キットにして頒布する以上、このPCBデザインの重要性は大きくなってきます。
もちろん、キットだけではなく製品開発に関しても重要な要素です。
部品の性能を発揮する、組み立てを楽しめる、メンテナンス性が良い、見た目が綺麗・・・
様々なことが要求されてきます。今回の日記から暫くはPCBレイアウトの話になるかと思います。

まぁ・・・どうしていきなりこんなネタなのかというと
大学の書庫を漁っていたら過去のMJの記事に配線の重要性と考察を書いた記事を見つけたのがきっかけです。
今回の内容はMJ2002年9月号124ページからの引用になります。


負帰還を用いた増幅回路におけるPCBデザインの概要

まずは、回路図を掲載しておきます。
LPCB

■一点アースの具体的な取り方
一点アースの取り方に関しては回路図の方を見て頂ければわかるとは思うのですが・・・
プリント基板を作ってしまう場合はベタ面で作ることが可能なので微妙なラインになってくるような気もします、アース(グランド)の取り回しに関しては次回に書こうと思うので今回は割愛します。
・・・というよりも素材が準備できていないので許してやってください。

■負帰還増幅回路における大まかな配置
ヘッドフォン・アンプなどの負帰還を用いた増幅回路のPCBデザインを行う際に回路図の緑色の線で囲ったように”L字”に機能ブロック配置するように心がけます。
これは、負帰還部分のパターンを可能な限り短くし寄生インダクタンスや寄生容量、外乱等の影響を避けるためです。これは、回路規模が大きくなればなるほど重要なポイントになってきます。

回路図中の増幅器に関しては
A1は初段になりGND電位を使用するので出来るだけGNDのパターン近傍に配置します。
A2に関しては励振段等になりますのでGND電位を使用しません。そのため、GNDのパターンから離れていても構いません。
A3は電力増幅段になりますので出力にGNDが必要になります。そのため、GNDのパターン近傍に配置するよにします。

この3点に加えて先に述べた負帰還部分の最短化を考慮するとL字に配置するのが無難な選択になります。
出力がBTL等のフローティングで無い限りは回路からGND電位を取る必要があるのですが、このへんの細かなPCBデザインのワンポイントは次回に書こうと思います。
・・・これも準備できてません!すいません。


今回はガイダンスみたいな内容になってしまいましたが次回はもう少し細かく書いていこうかなと思います。
それでは、また次回に!



  1. 2010/09/20(月) 02:23:44|
  2. PCB
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